時間が過ぎるのを待つ。
ひたすら通り過ぎるのを待っていた。
幼い頃から朝8時過ぎには近所のおばちゃんが迎えに来て、
私は牛乳と卵の入った小さな籠を持たされて、出かけて行った。
目と鼻の先にあるおばちゃんの家に…。
それから夕方の5時まで、私の世界はそのおばちゃんの家と棟続きにあったおばちゃんの妹が住む家だった。
私より3つ年上の男の子は、おばちゃんの妹の長男だった。
名前を「のぼる」と言い、みんなから「のぼるちゃん」と呼ばれていた。
今思えば彼は発達障害だったのかもしれない。
学校で片時もじっとしていなくて、授業中も外へ遊びに行ってしまう。
いわゆる「問題児」だった。
その子と私はまるで本当の兄妹のようにいつも一緒だった。
望むと望まざるとに関わらず、そうしなければならなかった。
嫌だと言えなかった。
おばちゃんにも親にも何も言えなかった。
学校から帰って来た「のぼるちゃん」は私を自分の暮らす家へ連れていく。
そこで私は彼の望む怪獣になった。
バルタン星人やその他の何かに。
とにかくなんでも言うことをきいた。
引き倒され、投げ飛ばされ、蹴飛ばされ、首を閉められた。
詳しくは思い出せない。
ただひたすら時間が過ぎて、私を迎えに来てくれる兄か姉を待っていた。
頭の中はからっぽにしていた。
それが私の幼少期の日常だ。